この連載では、先が見えない「暗闇プロジェクト」を任された場合に参考になりそうなヒントやノウハウを紹介している。前回(理不尽なユーザーの態度に振り回されない三つの極意)はユーザー側の理不尽な言動や行動にベンダーが振り回されないためのセオリーを紹介した。

 今回も現場マネジメントに関するセオリーを取り上げる。決定を急にひっくり返す、相手が非常に頭が切れる、旧来のレビューの進め方を適用しようとする場合にそれぞれどう対応すればよいかを見ていこう。

セオリー1 
決定は「ひっくり返される」場合もある

 前回、「決定事項を『ひっくり返す』決断も大切」というセオリーを紹介した。これは裏を返すと、当事者にとっては決定が「ひっくり返される」場合もあるということだ(図1)。これもセオリーとして取り上げておきたい。

図1●決定は「ひっくり返される」場合もある
図1●決定は「ひっくり返される」場合もある
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 会議である事項がようやく決定したからといって、安心してはいけない。決定の「場」に注意する必要がある。その会議に欠席した人が、後で決定事項にNGを出す、といったケースは珍しくない。決定事項は想像以上に簡単にひっくり返るものである。

 いくら「最終決定ということでいいのですね?」と念を押しても、その決定自体の信頼性が高まるわけではない。顧客の言葉は必ずしもリスクヘッジにはならない、ということを意識する必要がある。