この連載では、先が見えない「暗闇プロジェクト」を任された場合に参考になりそうなヒントやノウハウを紹介している。前回と今回では、「数字」に振り回されずに現場での調査結果を整理・分析するためのポイントを取り上げている。

 前回(「客観的なデータ」は幻想、定量データは必要悪)は「客観的なデータ」は幻想とみなすなど三つのセオリーを説明した。今回は二つのセオリーを見ていくことにしよう。

セオリー4
パターンが見えた、と思ったら危険

 要求定義の特に初期フェーズで、「きっと何らかのパターンや法則が見いだせるはず」と考えてはならない。暗闇プロジェクトでは、パターンが見えた、と思ったら危険だと捉えるべきだ(図1)。これがセオリーの三つめである。

図1●パターンが見えた、と思ったら危険
図1●パターンが見えた、と思ったら危険
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ヒアリング結果の分析が整然としすぎる

 ある要件定義プロジェクトで、若手のA氏が現場のヒアリング調査と整理・分析を一任された。リーダーとしての初仕事だったせいか、非常に高いモチベーションで作業を進めているように見えた。

 1カ月後の中間レビュー。A氏はヒアリングの結果と整理・分析結果を自信満々で説明した。ところが話が進むにつれて、マネジャーの表情は次第に曇っていった。説明した内容が、あまりにきれいで、整然としすぎていたからである。