先が見えない暗闇プロジェクトでは絶えず新たな問題が発生する。前回から、問題解決のための事前の想定や準備について説明している。

 プロジェクトで発生する問題の中でも悩ましいのは遅延対策だ。プロジェクト遅れに対する事前の備えをどう進めればいいのか。今回はこれに関するセオリーを紹介したい。

セオリー1
問題発生前に解の在庫を蓄えておく

 プロジェクトで遅延が発生。上司から「早々に対策を打つように」との指示を受けた。さて、どんな策を打つべきか。

 教科書を見ても、役立ちそうな対策は見当たらない。特にアカデミックな色合いの強い書籍は、非論理的な奇策・妙案のたぐいは載せられないので、結果的に「毒にも薬にもならない」策しか紹介していない。

 頼りになるのは現場のノウハウだ。本来なら、組織単位でノウハウを収集・管理したいところだが、そうすると教科書的な対策しか集まらない可能性が高い。偉い人がノウハウの確からしさをチェックし、実証できないものははじいてしまうからだ。

 そうなると、現場に役立つノウハウは自分で記録しておくしかない。プロジェクト管理の教科書に自分でノウハウを追記し、プロジェクトで遭遇した問題に対する解を蓄積していくのだ。問題発生前に解の在庫を蓄えておく、というのが一つめのセオリーである()。

図●問題発生前に解の在庫を蓄えておく
図●問題発生前に解の在庫を蓄えておく
[画像のクリックで拡大表示]