「暗闇プロジェクト」では、事前に詳細なプランを立てるのは困難。サイコロを振ってでも、とにかく行動を起こすことから始めたい。
プロジェクトに参加するベンダーは、「政治的」に決まった見積もりをあえて受け入れ、対応していく姿勢が大切だ。

 先の見えない「暗闇プロジェクト」でトラブルに陥らないための実践的なヒントやノウハウを紹介するこの連載は、今回が最終回である。ベンダー側の視点も織り交ぜつつ、四つのセオリーを紹介したい。

セオリー1
迷ったら早めにサイコロを振る

 筆者が関わったA社の暗闇プロジェクト。新たな業務領域への挑戦であり、メンバーはもちろん、マネジャーにも知識や経験が全くない。しかも、地理的に分散した異なるメーカーのシステムを相互に連携するという厄介なプロジェクトだった。

 メンバーは当初、納得のいくプランを立て、プラン通りに作業を進めようと考えていた。しかし、経験のない分野なので、どこから手を付けてよいのかが分からない。いくら議論しても結論を見いだせず、時間だけが過ぎていく状態が続いた─。

 こうした状況で、納得のいくプランなど立てようがない。だったら、早めにサイコロを振って、エイヤで進路を決め、とにかく動くのが先決である(図1)。これが一つめのセオリーだ。

図1●意思決定手段の例
図1●意思決定手段の例
最後は「神頼み」もアリ
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 サイコロで進路を決めるというのは、言わば「神頼み」だが、最初のアクションに根拠は要らない。行動すれば、判断に必要な情報は自然と集まってくる。この点が重要である。