「暗闇プロジェクト」を効率よく進めるには、教科書的なやり方とは異なるメンバーマネジメントが欠かせない。
プロジェクトに関わる情報は全て共有。
メンバー管理はあえて「放置プレー」で問題ない。

 この連載では、先の見えない「暗闇プロジェクト」でトラブルに陥らないためのヒントやノウハウを紹介している。今回はメンバーマネジメントに関する六つのセオリーを紹介する。

セオリー1
メンバー全員で
全ての情報を共有する

 セオリーの一つめは「メンバー全員で全ての情報を共有する」である。

 暗闇プロジェクトでは現場の担当者が試行錯誤を繰り返しつつ、作業を進めなければならない。マネジャーが常に現場に張り付くのは不可能なので、必然的に担当者自ら判断を下すシーンが多くなる。この時に、現場の担当者が持つ情報が多ければ多いほど、正しく判断できる可能性が高い。

 マネジャーの中には、「メンバーには担当分野に関わる情報だけを流せばよい」と考える人もいる。しかし、それではメンバーが互いに何をしているのか分からず、プロジェクトが「きな臭い」状況になった場合に連携して素早く対応することができない。

 筆者が関わったA社のプロジェクトでは、「全ての情報をメンバーで共有する」という方針を徹底した。マネジャーが上司やベンダーなどにメールを送付する際は、必ずCCにメンバーのアドレスを加える。マネジャー個人に送られてきたメールへの返信も、極力CCにメンバーを入れるようにした。

 電話でやり取りする際も、できるだけ大きな声で話し、メンバーに聞こえるようにした。マネジャーの発言だけで内容が分かるよう、相手の発言を繰り返した。こうして契約や見積もり、クレームに関する情報や交渉ごとの状況を全員で共有したのだ。

 これらの情報は多くの場合、メンバーが担当する作業に直接関係するわけではない。それでもメンバーがプロジェクトの全体像を把握できたので、人が異動する、緊急事態が発生する、といった場合に迅速に行動できた。