この連載では、先が見えない「暗闇プロジェクト」を主導するマネジャーが持つべき心得や運営のヒントを事例とともに示している。

 「暗闇」で発生する問題全てに正面から当たり、解決しようとしてもうまくいかない。問題に対して、どんな態度を取るべきか。三つのセオリーを紹介する。

セオリー1
問題はなくすのは不可能、「やり繰り」を目指せ

 ブロジェクトでは様々な課題や問題が発生する。特に2年以上の長期プロジェクトでは、課題一覧が数十ページにわたることも珍しくない。

 これらの課題や問題を全て解決するのは、まず不可能だ。重要度の高い課題でさえ、数週間かけても解決できるどころか、解決の糸口さえ見つからないケースもある。

 課題や問題が残ったままだと、プロジェクトマネジャーの気は重くなる。「課題を一掃できれば、どれだけ気が楽になることか」。こう思うのも無理はない。

 プロジェクトの課題や問題は、消えたと思うと別の場所に現れる。あぶくのようなものだ。プロジェクトの「マイナス」の状況を「ゼロ」に戻すための課題をクリアできたとしても、「ゼロ」の状況を「プラス」に持っていく、すなわち、より高みを目指すための新たな課題が生じる。

 こうした課題や問題に常に振り回されるようでは、マネジャーは務まらない。暗闇プロジェクトではなおさらのことだ。

 マネジャーは問題を「解決」するよりも、いかに「やり繰り」するかを考えるのが得策である。これがセオリーの一つ目だ。

トレードオフやジレンマが立ちふさがる

 なぜ、問題のやり繰りを考えたほうがいいのか。プロジェクトで発生する、解決が難しい問題のほとんどは、論理的な解決法が役に立たないからである。