この連載では、先が見えない「暗闇プロジェクト」を任された場合に参考になりそうなヒントやノウハウを紹介している。

 前回(時に相手をだましてもいいが、だまされるな)は、マネジャーが習得すべき「暗闇」ならではのマネジメントスキルについて触れた。今回はその続きである。マネジメントスキルに関する三つのセオリーを見ていく。

セオリー1
マネジメント研修には眉につばをつけて臨む

 ピーターの法則をご存知だろうか。会社で実績を上げたり能力が認められたりすると昇進する。そこでも実績を上げると、さらに昇進する。そこでもさらに実績を上げると、より昇進していく。

 やがて実績を上げられなくなり、「無能レベル」に達する。それ以上の昇進はなくなる。かくして、組織の各階層は無能レベルの人だらけになる、というものだ。

 この法則はIT業界にも当てはまる。プログラマーとしては優秀だった人材が、部下を持つようになった途端に結果を出せなくなる。チームリーダーとしては優秀なのに、マネジャーになると力を発揮できない。こんな例は枚挙にいとまがない。

 対応策として、多くの企業が実施しているのがマネジメント研修だ。役職が上がったときに無能レベルに陥らないよう、将来有望な人材に対してリーダー研修やマネジャー研修などを施す。

 これらのマネジメント研修はある面では有用だが、「暗闇」を前提に考えると眉につばをつけて臨むべきだ。これが一つめのセオリーである。

効果は「共通言語」が身に付く程度

 「どのような効果を得られるか」という観点で研修を分類すると、大きく三つに分かれる。