この連載では、先が見えない「暗闇プロジェクト」を任された場合に参考になりそうなヒントやノウハウを紹介している。
暗闇プロジェクトがきれいごとでは済まないのは、これまで本連載で見てきた通りである。マネジャーには「暗闇」ならではのマネジメントスキルが求められる。この点に関する二つのセオリーを紹介しよう。
セオリー1
時に相手をだましてもよいが、だまされるな
だますな、だまされるな。これは日本の総合商社における古くからの教訓だという。商売を続けるうえで、人から信用されることは非常に重要である。一方で、信用されてもだまされているばかりでは商売が続かない、ということだ。
ある雀士は学生時代、徹底的にイカサマの手法を学んだという。自分がだますためというより、相手がだましているかどうかを見破るためだ。
プロジェクトマネジメントではどうか。イカサマの例を四つ挙げてみよう。
イカサマ1:ドキュメントを作ったふりをする
あるプロジェクトでは、進捗度合いを以下のように数値化して把握していた。
- 着手:10%
- (自己判断での)半分完成:30%
- 作成完了:60%
- 内部レビュー:70%
- 外部レビュー:80%
- 最終修正完了:90%
- 定例会承認:100%
プロジェクトでは、成果物として30種類のドキュメントを作成する。一つのドキュメントの作成に10人日の工数を要すると仮定すると、合計して300人日の作業となる。進捗10%というのは、30人日分の作業が完了したことになる。