この連載では、先が見えない「暗闇プロジェクト」を任された場合に参考になりそうなヒントやノウハウを紹介している。
ベンダーにとって、顧客からいかに案件を受注するかは重要な問題だ。受注できそうかどうかに加えて、「無理してでも受注すべきか」の見極めが鍵を握る。これらに関する二つのセオリーを紹介しよう。
セオリー1
幸運の女神には前髪しかない
「幸運の女神には前髪しかない」。これはレオナルド・ダ・ヴィンチの言葉だとされる。これがセオリー1の一つめだ。
チャンスは一瞬しかない。うかうかしていたり、慎重に考えていたりすると女神は走り去ってしまう。あわてて捕まえようとしても後ろ髪がなく、つかめない。
チャンスをつかむには、素早く行動しなければならないということだ(図1)。まさに「暗闇」向けの教訓と言えるだろう。
「今日の午後4時までに見積もりが欲しい」
ベンダーが正式な見積もりを顧客に提出する際には通常、社内での稟議が必要になる。顧客もその点はわきまえており、「今日中に見積もりを出してほしい」などと無茶な要求を出すケースはめったにない。少なくとも1週間程度の期間を与えるものだ。
だが、例外もある。自治体のような官僚的な組織では、「明日までに必要」「明後日までに必要」といった指示が日常茶飯事となる場合がある。上層部は余裕を見て指示を出しているにもかかわらず、伝言ゲームをしている間に、当事者に届くころには「明日までに」という無茶な要求になってしまうようだ。