モバイルを企業の業務で浸透させるには、従来の情報システムとは異なる工夫が必要となる。
一つがユーザーインタフェース(UI)。小さな画面で、いかにユーザーと対話できるかが重要だ。もう一つがバックエンドのシステムとモバイル機器の連携のしやすさを実現することである。
この二つが揃うことで、最前線で起こっている予兆を捉える準備が整う。
第1回は、モバイルを活用して最前線のデータを捉え、経営に役立てていく重要性を論じた。第2回は、最前線で起こっている兆しを把握し、ビジネスに生かすために、まずはユーザーに実際にモバイル機器を使ってもらうためのポイントをフロントエンド、バックエンドの二つに分けて解説する。
情報システム部の中堅SEであるA氏は上司のシステム部長から呼ばれた。「営業最前線の情報を捉えるといって展開した、あのモバイルシステムだけど、評判悪くて誰も使ってくれていないぞ」
使われるモバイルとは?
モバイルならではの特徴的なポイントを理解できていなければ、ユーザー部門に振り向いてもらえず、使われない仕組みになってしまう。
(1)画面サイズが小さい
PC向けのWebなど、従来の仕組みは広い画面で使うことが前提で情報を詰め込むことができた。そのため「スクロールせず全体を見ることができる」など基本的な約束を守り、極論すると全部入りの画面を作れば、ユーザーが創意工夫で使ってくれる(もちろん、WebにはWebのUI設計がある)。
しかし画面の小さいモバイル機器はそうはいかない。小さな画面に情報を詰め込むのは無理がある。PC向けのWebでの情報が100とすると、スマートフォンの画面で表示できるのは5から10程度。情報の取捨選択が迫られる。情報を出す順番の工夫も必要だ(図1)。