ビジネスに激震を与えながら、業務システムへの影響度も増しているモバイル。新産業を生む一方で、既存のマーケットやスキームを破壊するその様は、企業活動に不可欠なインフラとなったインターネットの20年前の勃興期を思い出させる。

 同じことはモバイルでも繰り返される。しかもスピードは加速している。モバイルを経営に生かし、自らをデジタル化できない企業は生き残れない。

 情報システム部門のモバイル機器の取り扱いに関する悩みは、大きく三つの問いかけに集約できる。

(1)経営者からの問いかけ

 「モバイルは革命だ。使いこなせない企業は負けていく。どう使うべきか教えてほしい」

(2)事業部門からの問いかけ

 「明日からモバイルをどんどん営業の現場で使いたい。他社は皆使っている。ワークスタイルを変えたいんだ」

(3)情報システム部長からの問いかけ

 「『遅い』『古い』と言われるレガシーも残っている。どうやってモバイルに移行するのか」

 この特集ではこの三つの問いかけに対して一定の解を提示したい。第1回は、モバイルをビジネスにどう生かすかについて整理する。まず次のようなケースを想定する。

 ある日、中堅SEのA氏は上司の情報システム部長に呼ばれた。「うちのトップが『モバイルを使いこなせないようではこれからの競争に勝ち残れない。どう使うべきか考えてくれ』と言っている。情報システム部門としての提案を作ってくれ」