2020年代にはネットワークの中心がこれまでの場所と場所を結ぶ通信、人と人を結ぶコミュニケーションから、モノとモノ(Machine to Machine)、さらにはモノと人を含むあらゆる存在を結ぶ、IoT(Internet of Things)へと移り変わる。あらゆるモノや存在がつながる時代が本格化すると、インターネット市場のパラダイムは大きく変わる。多様なプレーヤーがデバイス市場の果実をもぎ取ろうと活発に動き始めている。

 「2020年代には世界人口の約10倍に相当する約500億のデバイスがネットワークにつながる“ネットワーク化社会”がやってくる。このことは世界に第3のインパクトをもたらす」─。これは大手通信機器ベンダーであるスウェーデンのエリクソンが2011年から提唱しているビジョンである。

 業界内の多くのプレーヤーがエリクソンのビジョンと同様、2020年代にはネットワークの中心がこれまでの場所と場所を結ぶ通信、人と人を結ぶコミュニケーションから、モノとモノ(Machine to Machine)、さらにはモノと人を含むあらゆる存在(Things)を結ぶ、IoT(Internet of Things)へと移り変わると予測する。自動車や自販機はもちろん、家電機器、照明といった家電分野、または工場の生産ラインや航空機のエンジンの監視、ビニールハウスのセンサーにも、当たり前のようにネットワーク機能が入っていくだろう。

 あらゆるモノや存在がつながる時代が本格化すると、インターネット市場のパラダイムは再び大きく変化する。これまでのインターネットの歴史が証明しているように、データを手中にし、適切に分析したものが市場の覇者となるからだ。M2M/IoT時代は取得できるデータが現実世界のモノまで広がる。これまでとは違う、新たな戦いの火ぶたが切られようとしている。

 2014年に入り、あらゆるプレーヤーがこの500億デバイス市場の果実をもぎ取ろうと活発に動き始めた。プラットフォームを共通化しようという標準化の動きもあれば、それを傍目にデファクトで市場を開拓する動きもある。

 この新たな市場においては、まだ成功者と呼べる存在はいない。誰がM2M/IoT時代における米グーグル、米アマゾン・ドット・コム、米フェイスブックになるのか。各プレーヤーの立ち位置の違いや思惑の交錯などもあり、その行く末は混沌としている。