(2)サーバーのメモリーを理解する

 次に、サーバーが搭載するメモリーについて説明します。クライアントPCの場合、メモリーの選定に当たっては、容量だけに着目することが多いと思います。しかしサーバーの場合は、容量以外にも着目すべき点がいくつもあります。

 例えば、データの転送速度がその一つです。現在主流のメモリー(DDR3 SDRAM)には、最大データ転送速度が12.8Gバイト/s、14.9Gバイト/s、17.0Gバイト/sといった種類があり、この中から適切な転送速度のメモリーを選択することになります。

 サーバーのメモリー構成を検討する場合、可能な限り高速なメモリーを選択するようにしてください。ただし、メモリー単体の転送速度だけに目を奪われてはいけません。CPUの性能向上のスピードに比べて、メモリーの高速化の進歩は緩やかです。そのためメモリーは「チャネル化」と呼ぶ機能を採用して高速化を実現しています(図3左)。

図3●メモリーのチャネル化とミラーリング
図3●メモリーのチャネル化とミラーリング

 いったいどんな機能なのでしょうか。チャネル化は、CPUが複数のメモリーに対して、並列にアクセスする機能です。CPUとメモリー間の帯域を増やすことができ、転送速度をより上げられます。最近の主流は4枚のメモリーに対して並列にアクセスできる「クアッドチャネル」です。同じ容量・速度のメモリーを4枚単位で搭載する必要がありますが、メモリー性能がほぼ4倍となります。

 一方、メモリーには信頼性を高める機能もあります。メモリーは、読み出し/書き込み処理が非常に多いコンポーネントです。この読み出し/書き込み時にごく稀にエラーが発生することがあります。これがクライアントPCの場合、ブルースクリーンやプロセス障害となって表れるわけですが、業務システムが稼働するサーバーでそんなことが発生しては困ります。

 そこでECCと呼ぶエラー制御の仕組みを使い、1ビット単位のメモリーエラーを、メモリーの内部で訂正しています。