今回は、ハードウエアとしての「サーバー」について取り上げます。サーバーは、ITインフラを語る上でなくてはならない構成要素です。サーバーの上でOSやDBMSといったソフトウエアを動作させ、ネットワークにつなぐことで、初めて業務システムとして機能します。本稿では、そんなサーバーについて、インフラエンジニアが特に押さえておきたいIAサーバーを中心に、導入・運用に関する基本的な知識や考慮点などを説明しましょう。

PCとの違いは「RASIS」で確認しよう

 多くの読者の方は、サーバーを利用した経験があることでしょう。では、そもそもサーバーと、一般的なクライアントPCの違いは何でしょうか。

 コストだけを見ると、クライアントPC上で業務システムを動作させたほうが得だと考えるかもしれません。しかし、サーバーにはエンタープライズ分野で利用するためのさまざまな工夫があります。

 サーバーとクライアントPCの違いは「RASIS(レイシス)」と呼ぶ評価指標の観点を用いると理解しやすいでしょう(図1)。RASISとは、コンピュータシステムを五つの観点で評価するための指標です。この観点に着目すると、サーバーとクライアントPCの決定的な違いがはっきりと見えてきます。

図1●サーバーにおける「RASIS」の例
図1●サーバーにおける「RASIS」の例

 一つめは「Reliability(信頼性)」です。サーバーは、メモリーのエラーからデータを保護するための「ECC(Error Check and Correct)メモリー」を搭載しています。また多くのベンダーでは、サーバーを出荷する前にハードウエアの試験を実施しています。これも信頼性を高める施策です。

 二つめは「Availability(可用性)」です。詳しくは後述しますが、一般的なサーバーのストレージは「RAID」を採用しているほか、電源・ファンを2台以上備えた冗長化構成となっています。

 三つめは「Serviceability(保守性)」です。サーバーの運用・保守作業は、インフラエンジニアの大きな役割の一つです。サーバーが搭載する電源・ファンなどのコンポーネント(部品)は、サーバーを停止せずに交換する「活性保守」が可能です。