ここまで、NTTデータ、NTTコミュニケーションズ、NTTドコモのグローバル展開を紹介してきたが、旗を振るNTT持ち株会社はどのような成長を描いているのだろうか。NTT持ち株会社自身も海外企業の買収に積極的に動いており、グループ各社と領域が重複している部分も見られる。NTT持ち株会社で国際戦略を担当する澤田純副社長(写真)に、現在の進捗状況や今後の連携方針などを聞いた。

(聞き手は榊原 康=日経コミュニケーション


写真●NTT 代表取締役副社長の澤田純氏
写真●NTT 代表取締役副社長の澤田純氏
[画像のクリックで拡大表示]

2017年3月期までに海外売上高を200億ドルとする目標は、達成できそうか。

 正直、現在の延長線上では170億~180億ドル規模が濃厚で、若干足りないと見ている。自力でも頑張って伸ばすし、M&Aも検討していく。ただ、全体としては至って順調。今後は長期的な成長と、かつ利益に配慮しながら連携を強化していく方向で考えている。

200億ドルの内訳(分担)はどうなっているのか。

 細かく積み上げたものは、まだない。実は、200億ドルの目標を打ち出したときも各社への割り当ては特になかった。全体の方向感として「ここまでは達成したい」というイメージに近い。各社も暗黙の了解で「2倍に伸ばす」と理解していた。

 ざっくりと言えば、NTTデータが2割、NTTコミュニケーションズが2割、ディメンションデータが6割といった割合になるかもしれない。ただ、NTTデータはエベリス(スペイン)を買収して好調に伸びており、比率が高まる可能性がある。全体の方向としてはインフラより上位レイヤーの伸びが大きく、これからはストック型のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)やITO(ITアウトソーシング)を強化していくことになるだろう。

細かい内訳がないと、困らないか。

 現状では、各社が決算を出して最後に連結する単純な構造になっている。詳細は個別に問い合わせなければ分からない。収入区分も統一しておらず、例えば「クラウド」の解釈も各社で異なる。まずはこれを統一しなければ、分野ごとにどのくらいの割合になるかは分からない。とはいえ、統一には時間がかかる。まず収入区分から始め、次は費用区分の統一と徐々に解決していきたい。

グループ各社が勝手に動き、うまく統制を図れていないようにも映る。

 グループ各社で考え方やスタイルが異なり、例えばディメンションデータの場合は買収した企業を完全に取り込もうとするのに対し、NTTデータは一部を除いてブランドの統一にとどめている。その上から持ち株会社がガチガチに管理するわけにはいかず、逆にユルユルでも良くない。そこで、ここ数年間は最終連結する収益と利益、特に収益を伸ばしていこうというのが、持ち株会社としての方針だった。

 このほうが各社にとっても馴染みやすい。例えばディメンションデータはアフリカでは圧倒的な知名度があるので、ブランドをそのまま残したほうが良いに決まっている。人事や会計のシステムも共通化を強要していないので混乱がない。これを「是」として進めてきた。