独アイテリジェンスをはじめ、米キーン、伊バリューチーム、西エベリスといった海外IT企業の相次ぐ買収により、グローバル展開を強化するNTTデータ。2020年をメドに「海外売上高を1兆円規模に引き上げ、海外比率を50%以上」とする目標を内部で掲げる。同社でグローバル事業本部長を務める西畑一宏常務執行役員(写真1)に、現在の手応えや今後の展開を聞いた。

(聞き手は榊原 康=日経コミュニケーション


写真1●NTTデータ 常務執行役員 グローバル事業本部長の西畑一宏氏。
写真1●NTTデータ 常務執行役員 グローバル事業本部長の西畑一宏氏。
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2020年をメドに海外売上高を1兆円規模に引き上げるとのことだが、現在の手応えはどうか。

 海外売上高の1兆円はあくまで(内部)目標で、コミットメントではない。2014年3月期の海外売上高は約3000億円。2004年3月期は30億円規模だったので、過去10年間で100倍に伸ばしたことになる。とはいえ、2016年3月期の予想でも4300億円というレベルなので、まだまだと考えている。

 ただ、手応えも出てきた。我々がこれまで取り組んできたのは、RFP(提案依頼書)の段階で顧客に提案を求められるようになること。とにかく提案できなければ、チャンスもない。我々は独自に“マジックナンバー”と呼んでいるが、ITサービスのシェア(金額ベース)が2%を超えると、多くの場合はその国のランキングでも20位圏内に入る。これを目指してきた。逆に言えば、20位以下になると顧客が認識していないことが多いので、提案に行っても「お前は誰だ」となる。我々も数年前まではそうだった。

 具体名は出せないが、2013年12月には世界的に有名な企業のサプライチェーン管理システムの受注を獲得した。これまで買収した企業の既存顧客を除くと、(買収した企業の)連携で初めて勝ち取ったグローバル案件になる。海外事例としては、テキサス州交通局や米ヤムブランズ(「ケンタッキーフライドチキン」などを展開するファストフード大手)などもあるが、米国内だけのローカル案件だった。同グローバル案件で、我々が提案を求められたのは10番目。グローバル展開に力を入れている面白いベンダーがあるということで興味を持ってもらい、そこから大逆転で受注に成功した。

 もっとも、良い話ばかりではない。ようやく土俵に上がれるようになると、今度は競合他社に負けるケースがたくさん出てきた。単純に言うと、今は「1勝9敗」の世界。これがそのまま「10勝90敗」になるのは辛い。さすがに負けるとダメージが残るので、せめて「10勝50敗」に負けを抑えたい。そのためには勝てそうな案件にリソースを集中投下していくしかないと考えている。