この連載では、PM(プロジェクトマネジャー)やメンバーが抱く、プロジェクトマネジメントに関する「素朴な疑問」に答えていきます。筆者がまとめたプロジェクトマネジメントメソッド「PROKAN(プロカン)」をベースにしていますが、PROKANのことをご存じない方でも読み進めていただけるよう配慮して話を進めます。

 前回(リスク管理表はなぜ必要?)は、リスク管理表を利用したリスク管理(リスクマネジメント)について取り上げました。今回のテーマは「編成=体制図を書く」です。

体制図を書くのは当たり前?

 プロジェクトで体制図を書くことは当たり前になりつつあると思います。特にプロジェクトの規模がある程度以上であれば、ほぼ例外なく体制図を作成しているのではないでしょうか。

 一方で、プロジェクト体制図の目的を真剣に考えているPMやプロジェクトリーダーは意外と少ないように感じます。「体制図を作るのは、プロジェクトマネジメントでは当たり前。必要に決まっているではないか」と、表面的に受け取る人がけっこういるものです。

 そんななか、PROKAN研修で若手のプロジェクトリーダーからこんな質問が出ました。

【疑問5】
プロジェクトをちょうど立ち上げたところです。プロジェクトリーダーとして体制図を書いているのですが、その目的が今一つはっきり分かっていません。プロジェクト体制図は何のために作成するのでしょうか?

 筆者は、この質問を聞いて「素晴らしい」と思いました。質問者はプロジェクトリーダーとしての経験はまだ浅いものの、とても良い動きをとっている優秀な方です。貪欲にプロジェクトマネジメントのセオリーやテクニックを吸収し、実践に生かそうとする様子を好ましく見ていました。