この連載では、PM(プロジェクトマネジャー)やメンバーが抱く、プロジェクトマネジメントに関する「素朴な疑問」に答えていきます。筆者がまとめたプロジェクトマネジメントメソッド「PROKAN(プロカン)」をベースにしていますが、PROKANのことをご存じない方でも読み進めていただけるよう配慮して話を進めます。

 前回(複数チームのスケジュール合わせのコツは?)は、複数チームのスケジュールをどう合わせるかについて取り上げました。今回のテーマは「リスク管理」です。

 PROKANにおけるリスク管理(リスクマネジメント)は、一般的なリスク管理とは異なる視点を持っています。この点を併せてお話しします。

【疑問4】
リスク管理のために、リスク一覧表を作成して報告しています。でも、その意味が今一つ理解できません。リスクを一覧化してもその対策は自分に返ってくるだけのようで、誰向けに書いているのかよく分からないのです。リスク一覧表は誰のために作成するのでしょうか?

 プロジェクトのリスクを洗い出し、対策を進める。顕在化したリスクが重大な事態につながる可能性がある場合、プロジェクトの納期を見直す。システム構築プロジェクトでこうしたリスク管理を実施するというのは、現在では珍しくありません。

 一昔前、いや二昔くらい前であれば、何があってカットオーバーさせる、気合を込めてやり抜く、といった態度でシステムを構築するケースもありました(今でもシステム構築プロジェクトに気合は欠かせませんが 笑)。現在では、その頃に比べてリスク管理の考え方が定着しているように感じます。

 プロジェクトで無理を重ねても必ずしも成功しない。それどころか、無理をすると余計にダメージが大きくなる。こうしたことが分かってきたからだと思います。

「リスクは本当にないのか?」

 こうした背景があり、システム構築プロジェクトにおいてリスク管理は重要な取り組みになりつつあります。