この連載では、これまで40件を超えるプロジェクトでPMまたはプロジェクトマネジメント支援を手掛けてきた筆者の経験を基に、PM(プロジェクトマネジャー)やメンバーが抱く、プロジェクトマネジメントに関する「素朴な疑問」に答えていきます。

 筆者が実践を通じて磨いてきたセオリーと手法を体系化してまとめた、プロジェクトマネジメントメソッド「PROKAN(プロカン)」をベースにして話を進めます。PROKANのことをご存じない方でも読み進めていただけるよう配慮します。

 前回(プロジェクトのゴールをどう設定すればいい?)はプロジェクトのゴールを設定・共有する大切さについてお話ししました。素朴な疑問が、実はプロジェクトの成否を左右するくらい大きな意味を持つことがお分かりいただけたと思います。

 ではさっそく今回の疑問に入りましょう。今回のテーマは「プロジェクトの方針」です。

【疑問2】
プロジェクトの「方針」って、どのように作ればいいのですか?

 プロジェクトは大勢のメンバーで編成します。このためプロジェクトの初期段階で、メンバー全員のよりどころとなる判断軸を「方針」として言語化する必要があります。

 方針として掲げるのは、主に以下の三つです。

1. QCD(品質・コスト・納期)目標の優先度に関する方針
2. システム化方針
3. プロジェクト推進方針

 …と説明したところでPROKANに関する研修の受講者から出てきたのが、冒頭の問いです。方針をどの程度のレベルで説明すればいいか、どんな書き方をすればいいかなどがよく分からない、というのです。