どうすればプロジェクトを成功に導くことができるのか──。これはシステム構築プロジェクトを担当する全てのプロジェクトマネジャー(PM)にとっての課題であり、永遠のテーマでもあります。

 経営層にとっても、システム構築プロジェクトの成功、すなわちIT投資の成功は大きな関心事です。プロジェクトメンバーにとっては、成功に向かう船にのっているか否かが重要になります。

 今回から始まる本連載では、これまで40件を超えるプロジェクトでPMまたはプロジェクトマネジメント支援を手掛けてきた筆者の経験を基に、PMやメンバーが持つプロジェクトマネジメントに関する「素朴な疑問」に答えていきます。

 プロジェクト成功の鍵は、実はシンプルな疑問への答えにあったりします。本連載をお読みの皆さんがプロジェクトの運営・実行を成功に導く一助となれば幸いです。

プロジェクトの成功は「偶発的」ではない

 今回は初回ですので、筆者のプロフィールを簡単に紹介します。

 筆者は新卒でリクルートに入社し、2004年にプロジェクトマネジメント専門会社を設立しました。先にお伝えしたように、40件以上のプロジェクトを手掛けてきて、いずれも成功を収めることができました。

 プロジェクトは決して偶発的に成功するわけではなく、プロジェクトマネジメントのメソッドによって導くことができる。こう考えた筆者は、実践により磨いてきたセオリーと手法を体系化し、プロジェクトマネジメントメソッド「PROKAN(プロカン)」としてまとめました。現在はPROKANを様々なプロジェクトに適用したり、研修を実施したりすることを通じて、IT部門のメンバーの育成を支援しています。

 この連載では、PROKANをベースにしてお話を進めていきます。PROKANのことをご存じない方でも読み進めていただけるよう配慮しますが、もしも本連載を通じてPROKANに興味を持たれたのであれば、近著「驚異のプロジェクト実行術 準備編」「同 実践編」をお手に取っていただければ幸いです。

 では今回の疑問に話を進めましょう。