前回は、中小規模の無線LANネットワークを取り巻く環境を整理し、その企業の使い方に合った無線LANアクセスポイント(AP)の選び方を解説した。

 本連載では、「まずAPをつないでみて、実際に使ってみながら自社に適したAPの設定を考えていく」というアプローチで、無線LAN構築についての説明を進めていく。一般的な中小企業で、段取りよくネットワークを構築できるところは少ないだろう。ならば実機を操作しながら無線LANの設計と構築、さらには運用の基礎をマスターしていくのが早道だ。今回は、企業向けAPをLANに接続し、使えるようにするまでのポイントを説明する。前回同様、ヤマハのAPであるWLX302を例に説明を進めていく。

設置場所を考える

 最初に、APの設置場所を検討し、APが搭載するポートなどの仕様を確認する。

 APは、電波が飛びやすく、かつパソコンやスマートフォンといった端末からの電波を拾いやすい場所に設置する。高くて全体を見渡せる、天井や壁に設置するのが望ましい(図1)。こうした場所に設置したAPは目に付きやすいので、目立たない外観の製品を選ぶとよい。ちなみにWLX302は、オフィスの天井や壁に設置した際の存在感を控えるため「白い本体色、小さな筐体、内蔵アンテナ」のデザインにしてある。

図1●APの設置場所を考える
図1●APの設置場所を考える
高くて全体を見渡せる場所に設置するとよい。なおAPによって、内蔵するアンテナの種類や、AP内でのアンテナの配置は異なる。
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 電波状態などを確認するために、仮設置したい場合もあるだろう。このときは、無線APの設置台として譜面台やPA(Public Address)システム用のスピーカースタンドなどを用意すると、高さや向きを調整しやすくて便利だ。

 設置する際は、アンテナの種類と配置も考慮に入れると、より効果的に電波を出せる。WLX302の場合は、4本の無指向性アンテナが本体に内蔵されている。このアンテナは無指向性で、電波は正面方向に放射状に飛ぶようになっている。天井に設置すれば下の方向、壁に設置すれば手前の方向に電波が飛ぶ。