ネットワーク業界でここ数年話題になっているSoftware-Defined Networking(SDN)を、わかりやすく解説する本特集。SDNが指す範囲は幅広く、関連各社がそれぞれの立場で微妙に異なる説明をしているため、わかりづらいところもある。第1回の今回は、SDNが登場した背景とその意味を整理した。


 「ネットワークを司るランプの魔人」──。それが「日経NETWORK」流にまとめた「理想のSDN」だ(図1-1)。ユーザーが要望を述べると、ユーザーには詳細がわからない手順を踏んで、その要望の実現に必要な機器やソフトウエアの構築・設定をやってくれる。

図1-1●理想のSDNは「ネットワークを司るランプの魔人」のようなもの<br>概要を理解しやすくするため、ここでは「ユーザーが要望を出すと、適切にネットワークの面倒を見てくれるランプの魔人」のようなものとして、「SDN」をとらえてほしい。ユーザーの意図をくんで、SDNが自動的にネットワークを構築・変更する。
図1-1●理想のSDNは「ネットワークを司るランプの魔人」のようなもの
概要を理解しやすくするため、ここでは「ユーザーが要望を出すと、適切にネットワークの面倒を見てくれるランプの魔人」のようなものとして、「SDN」をとらえてほしい。ユーザーの意図をくんで、SDNが自動的にネットワークを構築・変更する。
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 ここで言う「ユーザーの要望」は、主にビジネス上の目的を指す。「来月は繁忙期だから、通常の1.5倍のアクセスにWebサイトが耐えられるようにしたい」と、ネットワークに関する具体的な要件が入っていないこともあるだろう。

 もちろんこれは理想の話。今、世の中に出回っている“SDN”と名前を冠した製品はここまで抽象的な要求には応えられない。しかも冒頭のイラストを見ればわかるように、人によってSDNの意味は様々だ。だが現在でも「ユーザーがビジネス上の目的を達するために必要なネットワークを、高度に自動化された形で構築・設定する」方向性を目指しており、部分的には実現できている。現状の「SDN」は、特定の技術やプロトコルを指すものではない。上に挙げたようなコンセプトやそれを目指す製品の総称なのだ。