モダンなクラウドアプリケーション開発のベストプラクティスの一つである「The twelve-Factor App」が取り上げられることが多くなった。ビジネスの変化にICTが遅れずについていくためには、エンタープライズ分野の開発も、このプラクティスを取り入れていくべきだ。本稿では、エンタープライズシステムの開発・運用の視点から、従来行われてきたことと比較しながらTwelve-Factor Appを読み解く。

 Twelve-Factor Appでは、仮想サーバーの増減を容易にする方法や運用管理のあり方について言及している。クラウドアプリケーションの場合、必要最小限の仮想サーバーで運用を開始し、処理量に応じて仮想サーバーを増減させることがよくある。この増減は運用中かどうかに関係なく、24時間必要に応じて随時行う。

 エンタープライズ分野においても、サーバーの追加はあり得るが、日中運用中に動的に追加することはまれではないだろうか。万が一、サーバーがダウンした時には、事前に多重構成にしたクラスターの予備機を起動するなどして業務に影響がないようにすることが一般的である。クラウドアプリケーションのように、単純にサーバーを追加するのと変わりない処理で復旧することは難しい。Twelve-Factor Appにある、リリースの増減や運用管理を容易にするノウハウを紹介する。

 シリーズ第3週となる今週は、5日間に分けて「リソース増減や運用管理を容易にするためのプラクティス」をみていく。前回までの記事は以下の通り。

[1]ネット発のプラクティスをエンタープライズへ
[2]アプリケーションの改修を迅速にする
[3]単一のコードとして管理し、ツールで自動展開
[4]依存関係はツールで管理し、ライブラリを自動収集
[5]環境への展開を迅速にする
[6]環境の違いを設定で吸収
[7]コード変更なしに連携サービスを切り替える