筆者が2015年から2016年にかけて注目しているテーマの一つが、「ニュースの未来」である。筆者の仕事にも直結するこの動向は、すぐに勝負が決まるものではない。だが、新しい「これぞ」というニュースの読み方が登場すると、大きな流れが一気に生まれると考えられる。

 この分野で現在焦点になっているのが、モバイル化だ。小さな画面でいかに心地良く、効果的にニュースを読めるかという点が、競争上重要なポイントだ。

Appleは英語圏で「News」アプリ投入

 米Appleは、iOS 9の目玉機能の一つとして、標準アプリとして「News」を登場させた。「Apple News Format」と呼ばれる独自のマークアップ言語を用いて、様々なサイズのモバイルデバイスに最適化されたニュース記事のレイアウトデザインを実現している。テキストと写真、動画、アニメーションなどのリッチなコンテンツを、画面サイズにとらわれずに楽しめる。

 Newsアプリは現在、米国・英国・豪州の英語圏向けに提供されている。日本語のメディアを登録しようとすると、「言語のサポートまで待つように」と表示される。

 Appleによれば、月間4000万人がNewsアプリを利用しているという。iOS 9へのアップグレードが進むことで、今後もユーザーが増える可能性がある。iOS 9の標準アプリとして登場した点から、Newsアプリは今後、ニュースを読む手段として一定の勢力を確保するものとみられてきた。