米Apple主催の開発者イベント、「WWDC 2015」は2015年6月8日(現地時間)に開幕する。開発者向けのイベントであるため、基調講演も、一般消費者よりも開発者に向けたメッセージが中心となる。例年通りであれば、iPhone/iPad向けOSである「iOS」の新版や現行バージョンの新機能の披露、Mac向け「OS X」の次期バージョンのプレビュー、これらに合わせた新しいAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)の公開などが行われるだろう。

写真1●テレビ用セットトップボックスの「Apple TV」。コンテンツ拡充が続いている
写真1●テレビ用セットトップボックスの「Apple TV」。コンテンツ拡充が続いている
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 開発者が作ったアプリを使うのは一般消費者である。新しいアプリが動作する「デバイス」に関する言及も、WWDCでこれまで行われてきた。このコラムの前回「音楽が売れない! Appleは業界の問題を解決できるか」では、iOSにおける「ミュージック」機能改革の方向性について述べた。続いて今回は、新しい「Apple TV」について考えてみたい(写真1)。

Appleのテレビは、サービスとして発展中

 WWDC2015の発表内容次第では、今後、開発者がテレビをアプリ開発の対象に加えるかもしれない。一般消費者の生活に少なからず存在するテレビが、Appleによってどのように変化するのかは、大きな焦点の一つだ。

 Appleのテレビに関する噂はこれまでも流れてきたが、直近の動きとして目立つのは、長く販売しているフルHD対応の第3世代Apple TVを3月9日に69ドルに値下げしたことぐらいだ。テレビ受像機自体の開発は1年前に断念していたという報道もある(関連記事:Apple、テレビ開発計画を1年前に断念、今はApple TVに注力、米紙報道)。

 最近のAppleを見ていると、テレビの機能を追加するよりも、コンテンツプロバイダー向け対応に関する動きが多い。3月9日のイベントでは月額料金でドラマなどが楽しめる「HBO Now」を発表している。9月以降に定額制のテレビサービスを開始する可能性も指摘されてきた(関連記事)。