米アップルは中国最大のタクシー配車アプリ企業Didi Chuxing(滴滴出行)に10億ドルの投資を行った。CEO(最高経営責任者)のTim Cook氏は2016年5月中旬に中国を訪れており、現地のアプリ開発者とミーティングしたという(関連記事:Apple、中国配車サービス大手に10億ドルを出資AppleのクックCEOが中国北京を訪問、続いてインドへ)。

 アップルが投資をした背景にあるのは、一体何だろうか。アプリ企業への投資活動は、今後のアップルの一つの「やり方」になるのだろうか。

 まずは、Didi Chuxingへの投資の理由について考えてみよう。

既に独占的な存在のDidi Chuxing

 Didi Chuxingは、既に十分成功している企業だ。ユーザー数は3億人以上、毎日1100万件のリクエストを処理しているこの企業は、中国市場におけるタクシー配車アプリでは87%のシェアを持つ「最大の存在」だ。アップルはこの企業に10億ドルを投資した。

 Didi Chuxing自身は急成長している企業であるが、同時に、競合である米ウーバー・テクノロジーズ(Uber)とのシェア争いに多額のコストをかけているのも事実だ。そのため、アップルからの投資を断る理由はない。中国市場のコントロールを確実なものとし、かつ、中国以外の国でのビジネス展開をもくろむのであれば、今回の投資は大きな後押しになるだろう。