プライベートクラウド上の仮想マシンでWeb系システムを運用している。CPUがボトルネックになってきたので、仮想マシンに割り当てるCPUを増やそう――。

 当たり前の対応のようだが、実際はそう単純ではない。システム構成を変更すると、ソフトウエアのライセンス料も変わってくる。「CPUを一つ増やすだけでライセンス料が2倍になる場合もあるし、変わらない場合もある」(ソフトライセンス関連のコンサルティングを手掛けるライセンシング ソリューションズ チーフコンサルタントの相田雄二氏)。ライセンス体系を理解して構成を変えないと、無駄なコストを支払う羽目になる。

 仮想マシン(VM)の登場でソフトウエアのライセンス体系は複雑化した。サーバー仮想化やクラウドの利用が広まるにつれ、ライセンス料を加味したインフラ設計・運用は煩雑になる一方だ。その結果、「ライセンスをきちんと理解してインフラを設計したり、ソフトを購入したりできているユーザーは多くない。ユーザーのシステムを精査すると、さまざまな無駄が見つかる」(相田氏)。

 本特集では、ライセンス費の無駄使いをしないための、インフラ設計やライセンスの選択の方法を解説する。特に判断ミスの影響が大きいOSやミドルウエアを取り上げる。具体的には、米Microsoftの「Windows Server」と「SQL Server」、米Oracleの「Oracle Database」、米IBMの「WebSphere Application Server」だ。加えて、アプリケーションの代表として独SAPの「SAP ERP」も見てみよう。