写真1●ITpro EXPO展示会での展示の様子(写真:後藤究)
写真1●ITpro EXPO展示会での展示の様子(写真:後藤究)
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 ITpro EXPO AWARD 2014で優秀賞に選ばれたのは、NTTデータが開発したオープンソースの統合運用管理ソフト「Hinemos」である(写真1)。主な特徴は、監視やジョブ管理、クラウド制御などを兼ね備えた統合運用管理ができることと、複数のクラウドを組み合わせたマルチクラウド環境を運用できること。

 展示会場では、NTTデータの企業ブースとは別に、Hinemosのために独立して用意した専用の展示ブースを設けた。展示のキーワードは「Hinemos is not a Monitoring Tool, It's a Multi-Cloud Orchestration Tool!」(Hinemosは監視ツールではなく、マルチクラウドのオーケストレーションツール)。すでにマルチクラウドの運用が完成していることを、実際に動くデモンストレーションで紹介した。

複数のクラウドを運用する際の四つの課題を解決

 マルチクラウドとは、クラウドの種類を問わずに、複数のクラウドサービスを組み合わせて運用することを指す言葉である。このメリットは、機能の違い、料金の仕組みの違い、ロケーションの違い、といった個々のクラウドサービスごとの特徴を、システム需要に合わせて最適に組み合わせられることである。

写真2●マルチクラウド環境が抱える課題(出典:NTTデータ)
写真2●マルチクラウド環境が抱える課題(出典:NTTデータ)
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 しかし、実際にマルチクラウドを運用する場合、そこには四つの課題があるという(写真2)。(1)「マルチクラウド環境の統合管理」(単一画面で複数クラウドを管理できるか)、(2)「マルチクラウド環境の運用自動化」(クラウドをまたがった業務フロー連携ができるか)、(3)「料金管理」(業務やサーバー単位で利用料を算出できるか)、(4)「セキュリティ」(パブリッククラウドの操作を監視できるか)、---である。

 (1)のマルチクラウド環境の統合管理と(2)のマルチクラウド環境の運用自動化は、旧来の統合運用管理と同じことをマルチクラウド環境でもできるようにするということである。これができて初めて、マルチクラウドのオーケストレーションツールとして成り立つ。これに加えて、(3)の料金管理と(4)のセキュリティは、旧来の統合運用管理にはない、クラウドならではの管理機能である。

 こうした背景からNTTデータは、四つの課題をそれぞれ解決する機能をHinemosに搭載した。展示ブースでも、これら四つの課題を解決できていることをデモンストレーションしてみせた(表1)。デモ環境として用意したクラウド環境は、パブリッククラウドがAWS(Amazon Web Services)、Cloudn(NTTコミュニケーションズ)、Microsoft Azureの三つ、プライベートクラウドがdimension dataのManaged Cloud Platform(MCP)である。

表1●展示ブースで実施したマルチクラウド運用のデモ
No.タイトル概要
1マルチクラウド環境の統合管理
~単一画面で実現する統合運用~
  1. Hinemosでマルチクラウド環境が単一画面で管理できる
  2. クラウド側の変化にも自動追随して、運用自動化ができる
2マルチクラウド環境の運用自動化
~クラウド間の業務フロー連携~
  1. キュー連携機能を使って、クラウドをまたがってジョブフロー連携ができる
  2. クラウド間連携が失敗した場合もただちにアラートを上げることができる
3クラウド料金管理
~マルチアカウント運用時の正しい料金の配賦管理~
  1. 複数アカウントをまたがる、またはアカウント内の複数システムの課金状況を可視化できる
4クラウド操作ログ管理
~マルチクラウド対応の操作ログ管理~
  1. AWS、Cloudn、Azureの各環境へ、監視中の各操作が行われるとアラートを上げられる
  2. ログを蓄積して、過去の履歴を確認できる