安倍内閣は今年6月、「国土強靭化基本計画」を閣議決定し、アクションプランも定めた。その中には、「サプライチェーンを確保するための企業ごと・企業連携型BCP(事業継続計画)の策定」も含まれている。

 東日本大震災、タイの大洪水から3年。企業のBCP策定はどの程度進んだのか。日本経済団体連合会の「防災に関する委員会」の共同委員長で、内閣の重要政策に関する会議の一つである「中央防災会議」の「防災対策実行会議」と、その「首都直下型地震対策検討ワーキンググループ」の委員を務める橋本孝之日本IBM会長に、企業のBCPと防災のポイントを聞いた。

(聞き手は日経BPイノベーションICT研究所長 桔梗原 富夫)

現在、橋本さんは防災に関する要職を務めておられます。防災に関わるようになったきっかけは何ですか。

(撮影:清水真帆呂)
(撮影:清水真帆呂)

 東日本大震災の後、経団連の米倉弘昌会長(当時)から突然電話を頂き、「防災に関する委員会」の委員長に就任してほしいと依頼されたのです。東日本大震災の際に、日本IBMは発生4分後には保守部門の災害対策本部、45分後には本社災害対策本部を立ち上げました。その記事が日本経済新聞などで紹介されたので、それを読んだどなたかが推薦されたのかもしれません。

 防災に関する委員会では防災・減災にどう取り組むべきかを議論し、提言を出しています。その延長で政府との関わりができ、内閣府の中央防災会議の「防災対策実行会議」と、その「首都直下型地震対策検討ワーキンググループ」の委員も務めることになりました。

 中央防災会議は、内閣総理大臣を会長とし、防災担当大臣をはじめとする全閣僚、指定公共機関の長、学識経験者からなる会議です。国は中央防災会議の「防災対策推進検討会議」において「首都直下型地震対策検討」「南海トラフ巨大地震対策検討」「津波避難対策検討」の3つのワーキンググループを設け、対策検討を進めました。