LibreOfficeに続くThe Document Foundation(TDF)の第2のプロジェクトが「Document Liberation Project」です。Liberationとは「解放」の意味です。

 プロプライエタリなソフトウエアで作られた(そして、しばしばそのソフトウエアが開発中止になった)文書を「閉じ込められている」とみなし、そういった文書のフォーマットを解析。LibreOfficeへのインポートフィルターを書いて、最終的にはLibreOfficeの標準ファイル形式で、国際標準規格であるODFとして保存することで、文書をベンダーフリーにして寿命を伸ばす――。これが「解放」の意味です。Fridrich Strba氏が本プロジェクトの概要について説明していました。

Document Liberation ProjectとODF

 ODFについてもいくつかセッションがありました。ODFの標準化に尽力しているSvante Schubert氏によるODFの企画策定プロセスや次期バージョン1.3についての報告、ドイツのLibreOffice認定ベンダーCIB Softwareらが中心となってODFとOOXMLの相互運用性について話し合うBoF、ODFとLibreOfficeを用いてリッチなレターヘッド埋め込みシステムを構築した話などが紹介されました。

タイムベースリリースにおける品質保証の取り組み

 移行か新規利用かに関わらず、LibreOfficeを使おうという人にとって、どんな機能があるのかも大事ですが、品質もまた大事です。

 LibreOfficeは半年に一度、決まった時期にメジャーリリースが出るタイムベースリリースという仕組みを取っています。このリリースサイクルでは「リリース候補版が出てから一定のテスト期間を設け、そのテストを潰しきってからリリース」という品質保証はできません。

 そのため、開発版を積極的にエンドユーザーに使ってもらって、不具合を報告してもらい、そのレポートを元に開発者がバグを継続的に潰していく方法が取られます。LibreOfficeの品質保証(QA)チームは、自分たちが懸命にテストするというよりは、報告された不具合をどう処理して開発者につなぐかという責務を持っているわけです。

 一方でこうしたやり方は、オープンソースとしては比較的ありがちなスタイルですが、LibreOfficeはコンシューマプロダクトであり、エンドユーザーにとって不具合の報告はハードルが高いのも事実です。そのため昨年からLibreOfficeのQAとはどうあるべきかという議論が活発になり、2週に一度の頻度でリモート会議が行われるようになりました。