初日の午後からは三つのトラックに別れ、「開発」「QA」「移行」「マーケティング」「その他」というようなさまざまなテーマについて議論がありました。このレポートでは時系列を無視して、筆者が聴講したなかで興味を惹かれたものをピックアップして紹介していきます。
着実に蓄積されるLibreOfficeへの移行事例
まずは筆者が聴講したLibreOfficeへの移行関連セッションを紹介します。一つは「LibreItalia」を有し、今回も多くのメンバーを送り込んだイタリアの事例です。セッションのタイトルは、「Migrating from MS Office to LibreOffice:the Italian Public Administrations」、つまりイタリア公共機関におけるMicrosoftのMS OfficeからLibreOfficeへの移行事例です。スピーカーのMarina Latini氏もやはりLibreItaliaのメンバーであり、The Document Foundation( TDF)のAdvisory BoardでもあるStudio Stortiに所属しています(写真1)。
このセッションでは、まず公的機関におけるMS OfficeからLibreOfficeへの移行について、イタリアの法律に照らしたチェックポイントをいくつか紹介。その後、イタリアのコミュニティーとしてPC1万6千台の移行を支援した様々な実績や移行プロトコル、抵抗勢力への対応法などを紹介し、イタリアのみならずグローバルに公開していく方針であると述べていました。
そして事例の一つとして南イタリアのバーリ市において、MS Office 約1500ライセンスを移行した事例の説明がありました。バーリ市ではRTFフォーマットをかなり使っているようで、RTF自体のバリエーションが非常に多種多様に渡ったために問題が発生。それを管理するためにバグ管理システムBugzillaに「RTF META BUG」という「バグを管理するためのバグ」を起票するようQAチームに働きかけたことが報告されました。
このように、サポート企業とローカルなコミュニティー、そしてグローバルなコミュニティーが一体となって活動するのは移行のベストプラクティスといえるでしょう。