イスラエル企業を買収した初の日本企業が、通信機器などを開発・販売するサン電子だ。同社は2007年、当時40人規模だった携帯電話のフォレンジックを専門とするセレブライトを買収。以来、セレブライトは本社をイスラエルに置きつつ成長を続け、社員数は買収当時の10倍にもなった。セレブライトの取締役会議長として、頻繁にイスラエルと日本を行き来するサン電子の山口正則代表取締役社長に聞いた。


サン電子 代表取締役社長 山口正則氏  撮影:越野 龍彦
サン電子 代表取締役社長 山口正則氏  撮影:越野 龍彦
[画像のクリックで拡大表示]

 セレブライト買収は、サン電子の創業者で当時の会長が事業拡大のため海外でM&A(合併・買収)をしようとしていたことが発端。当初は米国で企業を探していた。そこで知ったのが、当時既に米国に進出していたイスラエルのセレブライトだった。

 セレブライトは2007年の買収から現在までで売上規模が10倍、利益は20倍、社員数は10倍にまで成長した。M&A当時は、イスラエルと米国ニュージャージー州に拠点がある総勢40人規模の会社だった。今はドイツ、ロンドン、シンガポール、そしてブラジルのサンパウロにも事業所を設けている。

 日本企業が海外で事業展開する場合、まだ言葉の壁がある。最近は英語は話せる人は多いが、ヨーロッパの様々な言語を話せる人は少ない。ところがイスラエルでは、一人で3~4カ国語できるのが当たり前。セレブライトの場合、エンジニアの3分の1がロシア系でヘブライ語、英語以外にロシア語も話せる。フランス語、ドイツ語を話せる社員も普通に在籍している。彼らには言葉の壁が全くない。