2014年9月17日、都内で「Start-up Nation -イノベーションと起業で輝く国を目指して-」と題されたシンポジウムが開催された。主催は日本イスラエル親善協会。「Start-up Nation」とはイスラエルを指し、同名の書籍(邦題は『アップル、グーグル、マイクロソフトはなぜ、イスラエル企業を欲しがるのか?』)の著者であるシャウル・シンゲル氏の来日に合わせたて開かれたものだ。そんなシンポジウムに、一見意外な人物が登壇した。KADOKAWA取締役会長の角川歴彦氏だ(写真1)。

写真1●イスラエル視察を報告するKADOKAWA取締役会長の角川歴彦氏(左)。檀上角川氏の右から、ファシリテーターを務めた政策研究大学院大学教授・学長補佐の角南篤氏、三菱ケミカルホールディングス代表取締役社長の小林喜光氏、インターネットイニシアティブ代表取締役社長の勝栄二郎氏
写真1●イスラエル視察を報告するKADOKAWA取締役会長の角川歴彦氏(左)。檀上角川氏の右から、ファシリテーターを務めた政策研究大学院大学教授・学長補佐の角南篤氏、三菱ケミカルホールディングス代表取締役社長の小林喜光氏、インターネットイニシアティブ代表取締役社長の勝栄二郎氏
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 角川氏は今年3月にイスラエルを訪問し、映像配信プラットフォームやスマートテレビについて現地のベンチャー企業と意見交換したという。同氏はイスラエルのベンチャーを、「国際的で、ロシアとも太いコミュニケーション(のパイプ)を持っている」と語り、日本企業と国際展開などでも補い合えることを示唆した。

 角川氏だけでなくここ数年、様々な業界から日本企業のイスラエル視察が相次いでいる。LINE代表取締役社長の森川亮氏は、自身のブログでイスラエル訪問を公表。現地で数多くのベンチャー企業を回ったという。

 リクルートホールディングス Recruit Institute of Technology総責任者の岡本彰彦氏は、今年に入り3カ月に1回は投資先を求めてイスラエルを訪れていると話す。「イスラエルは要素技術の塊。トップレベルのセンシング、解析技術を持っており、シリコンバレーとは異なる側面がある。要素技術先行型で投資をしたり、買収をしたりして、サービスに取り込んでいきたい」と、より具体的にイスラエルのベンチャー企業との関わりを述べる。