イスラエルのITベンチャーがカバーする分野は幅広い。その中にあって、特に強みを発揮しているのが、センシング(測定)技術や画像認識、ビッグデータ解析といった分野だ。こうした分野の多くに、軍の高度な“インテリジェンス”の研究によって培われた人材が携わっている。

ハンドジェスチャー:高度な認識技術を操作に利用

 イスラエルは画像認識など、「軍の研究を背景として、対象物を捕捉するセンシングの技術が進んでいる」と日本イスラエル商工会議所 理事の小木曽明夫氏は指摘する。

 イスラエルではここ数年、機器の操作などにセンシングの技術を応用するベンチャー企業が続々と登場している。特に目立つのがハンドジェスチャーでパソコンやタブレット、家電などを操作する技術を持つベンチャー企業だ。イスラエル国内だけでも「少なくとも7社競合企業がある」(イスラエル輸出・国際協力機構 海外プロジェクト・自動車産業部 部長のウリ・バクター氏)という。

写真1●eyeSightの技術を使いジェスチャーでパソコンを操作
写真1●eyeSightの技術を使いジェスチャーでパソコンを操作
[画像のクリックで拡大表示]

 そうした中、既に大手PCメーカーなどの採用実績があるのがアイサイト(eyeSight、写真1)やポイントグラブ(PointGrab、写真2)だ。機器側の内蔵カメラで手の動きを読み取り、それを解析してコマンドに変換、機器の操作に利用する。

写真2●PointGrabは家電の電源のON/OFFをジェスチャーで実現
写真2●PointGrabは家電の電源のON/OFFをジェスチャーで実現
[画像のクリックで拡大表示]

 カメラは特別なものではなく、機器に内蔵する標準品だ。両社ともに提供するのはソフトウエアであり、メーカーと技術提携することでパソコン、タブレット、テレビ、セットトップボックスなどにハンドジェスチャーによる操作機能を加える。