道路や橋梁のセンシングとデータ分析。これを実践に移そうという取り組みを、東日本高速道路(NEXCO東日本)が進めている。「スマートメンテナンスハイウェイ構想」だ。点検の熟練者不足を視野に、点検作業の効率化に向けてICTを活用しようとしている。

 笹子トンネルの天井板落下事故を契機に、インフラ老朽化への危機意識が高まっている。インフラ保全は、点検担当者の高齢化と労働力不足も深刻化している。そこでNEXCO東日本が打ち出したのが、点検業務にICTをフル活用する「スマートメンテナンスハイウェイ(SMH)構想」である。

 点検業務には様々な課題があり、これらを改善して業務を効率化することがSMH構想の目的である(図1)。手段の一つは、センサーネットワークによる道路や橋梁、トンネルの状態監視。中でも特徴的な取り組みは、ドローン(UAV、無人飛行体)と呼ばれるマルチコプターを使った監視「全自動ロボット型空中俯瞰撮影システム(S-AIS)」だろう(2014年7月号の本連載で紹介)。2020年までには、こうした各種点検情報を監視する「インフラ管理センター(仮称)」も立ち上げる。技術者不足に対応するため、熟練者の業務行動パターンを記録し、そのデータ分析に基づいた教育プログラムも整備した(表1)。

図1●高速道路の点検・補修のプロセスと課題
図1●高速道路の点検・補修のプロセスと課題
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表1●SMH構想で取り組んでいるテーマと具体的な取り組みの内容
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