街のインフラ保守を支援する技術・手法が広がっている。ただ保全という視点で考えると、定常的な状態変化の監視が欠かせない。そこで役立つのがセンサーネットワークである。老朽化が進むインフラの保全は重要なテーマ。今回は東京ゲートブリッジを例にインフラ保全の仕組みを紹介する。

 建設されてから30~50年を経過し、耐用年数を過ぎようとしている道路や橋は数多い。これに、インフラの保全・保守を担当する技術者たちの高齢化、人口減少が加わり、インフラの保守・保全は社会全体の大きな課題になっている。

 この課題解決に向けたソリューションとして注目されているのが、モノの状態変化を自動的に測定し、変化の傾向を把握できるようにするセンサーネットワークである。例えば路面の状態や、震災時に橋にかかった力、橋を構成するパーツの位置変化などをモニタリングすることで、通常時とどのくらい違ったことが起こっているのかをチェックする。通常かかっている負荷をモニタリングし続けることで、累計の負担を把握すれば、保全・補修の時期が近づいているかどうかも判断しやすくなる。老朽化対策を含め橋などの保全にはうってつけの策である。

 こうしたセンサーによるモニタリングを実施する例は、徐々に増えてきている。国内で著名な例の一つは東京ゲートブリッジである。ほかに、首都高速道路も羽横線など3カ所ほどにセンサーを配備してある。NTTデータの橋梁監視ソリューション「BRIMOS」も、こうした使い方を想定したもの。最近の動きとしては、2007年に崩落したことのある東南アジア最長のカントー橋(ベトナム)が同ソリューションを導入した。

 実際のところ、監視すべき場所や項目は、対象とするインフラによって異なる。例えば橋梁監視でも、橋によって違う。監視方法も、センサーを常設して、常にデータを集める方法もあれば、1週間など一定期間だけ調査のためにセンサーを配備し、データを集めて、後から分析し、保全・保守の判断をする手もある。