施設・設備の監視、宅配をはじめとする物流、災害時のモノの移動・運搬などに役立つとして、新たな運送手段が注目されている。マルチローター型のUAV(無人飛行体、Unmanned Aerial Vehicle)である。マルチコプター、ドローン(drone)などとも呼ばれ、自律飛行するオートパイロット機能を備えるものが増えている。
UAVは、文字通り、無人で飛ぶ飛行体。このうち、最近注目されているのは、4~8個の回転翼(ローター)を備え、揚力を使って飛ぶ、マルチローター型UAVである(写真1、2)。
大きさは手のひらサイズから直径2メートル程度が主。それぞれのプロペラの動きを個別に制御することで、空中に静止(ホバリング)させたり、飛ぶ方向を制御したりできる。オートパイロット機能を備えるUAVは、3軸センサーを使って飛行姿勢を制御したり、レーダーで方向や障害物を識別・回避したりできる、いわば飛行ロボットである。このため、人が行きにくい場所に容易に到達できる。従来は収集が困難だったリアルタイムデータを入手できることから、社会の仕組みに大きな変革をもたらす可能性を秘めている。