施設・設備の監視、宅配をはじめとする物流、災害時のモノの移動・運搬などに役立つとして、新たな運送手段が注目されている。マルチローター型のUAV(無人飛行体、Unmanned Aerial Vehicle)である。マルチコプター、ドローン(drone)などとも呼ばれ、自律飛行するオートパイロット機能を備えるものが増えている。

 UAVは、文字通り、無人で飛ぶ飛行体。このうち、最近注目されているのは、4~8個の回転翼(ローター)を備え、揚力を使って飛ぶ、マルチローター型UAVである(写真12)。

写真1●米アマゾン・ドット・コムはUAV(Unmanned Aerial Vehicle)を宅配に利用しようとしている
写真1●米アマゾン・ドット・コムはUAV(Unmanned Aerial Vehicle)を宅配に利用しようとしている
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写真2●ドイツのハイトテックが開発したUAV
写真2●ドイツのハイトテックが開発したUAV
非営利団体のデフィネッツと、AED(自動体外式除細動器)の自動運搬用システムを共同開発した。
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 大きさは手のひらサイズから直径2メートル程度が主。それぞれのプロペラの動きを個別に制御することで、空中に静止(ホバリング)させたり、飛ぶ方向を制御したりできる。オートパイロット機能を備えるUAVは、3軸センサーを使って飛行姿勢を制御したり、レーダーで方向や障害物を識別・回避したりできる、いわば飛行ロボットである。このため、人が行きにくい場所に容易に到達できる。従来は収集が困難だったリアルタイムデータを入手できることから、社会の仕組みに大きな変革をもたらす可能性を秘めている。