企業や消費者のリスク回避を強く意識した天気予報がある。ウェザーニューズの「ウェザーニュース」だ。同社は、一般消費者のほか、企業などに向けて、天候の変化に伴うリクス回避を想定した様々なサービスを提供している。これもICTを駆使して社会を支えるサービスの一つだ。

 ウェザーニューズが目指しているサービスは、単なる予測データ提供を超えた、「リスク回避の対応策」を想定した天気予報である。そのために様々なレーダー、センサー、カメラなどを利用している。具体的には、全国80カ所に設置した「WITHレーダー」、面で気象観測するための気象センサー(WITHセンサー)3000基、津波を監視するTSUNAMIレーダー25基、ライブカメラ900台といったものだ。

集合知が不可能を可能にした

 リスク回避に向けた天気予報の最も代表的な例は、ゲリラ雷雨の予報。突発的に発生するゲリラ雷雨は、積乱雲がほかの雲とは異なる高さで、しかも急速に発生、発達し、局地的に予期せぬ豪雨をもたらす。気象庁の気象レーダーでは、それほど低い位置の雲の情報は把握できない。しかも雨量が極めて多く、死者が出るほどの被害に見舞われることがある。

写真1●ウェザーニューズはセンサーやレーダー、そしてウェザーリポーターからの情報に基づいてゲリラ雷雨を予測する
写真1●ウェザーニューズはセンサーやレーダー、そしてウェザーリポーターからの情報に基づいてゲリラ雷雨を予測する
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 そこでウェザーニューズが提供しているのが「ゲリラ雷雨Ch.」。ゲリラ雷雨をもたらす積乱雲を見つけて、雨を降らせそうな地域の情報を、発生の30分前に通知するというものだ(写真1)。前述のWITHレーダーと、同社の最大の特徴である“ウェザーリポーター”というコミュニティーから集まる情報を活用する。

 WITHレーダーは、航空用をベースに開発したもの。これで、ゲリラ雷雨を降らせる、低い位置で発生した積乱雲の様子を捉えられる。ただ、80カ所のWITHレーダーだけでは全国を網羅できない。そこで威力を発揮するのが、ウェザーリポーターからの情報だ。