2014年9月9日(米国時間)、アップルは新型iPhoneの発表に続けて、2015年発売予定という「Apple Watch」を披露した(写真1)。長らく登場が噂されてきた端末であることもさることながら、来年発売の製品を早期に発表するという、アップルとしては異例のスタイルも話題となった。

写真1●アップルが「Apple Watch」を発表、2015年発売へ
写真1●アップルが「Apple Watch」を発表、2015年発売へ
[画像のクリックで拡大表示]

 ドイツ・ベルリンで開催されたIFA 2014においても、複数のスマートウォッチ製品が登場した。果たしてアップルの参入で、スマートウォッチの本格普及は始まるのだろうか。

アップルの参入でスマートウォッチ市場が確立か

 スマートウォッチを含むウエアラブルデバイスは、スマートフォン、タブレットに続く大型トレンドとして、期待されてきた。特にスマートウォッチは、スマートフォンと併用できることから市場規模も大きいと考えられがちだ。

 一方で、スマートウォッチに「スマート」機能を搭載すると、腕時計としてかなり大きなものになるという問題もある(写真2)。スマートフォンと比べても、スマートウォッチの体積は数分の1しかなく、バッテリーサイズにも制限がある。

写真2●サムスンの「Gear S」。腕時計としてはかなり大型だ。
写真2●サムスンの「Gear S」。腕時計としてはかなり大型だ。
[画像のクリックで拡大表示]

 こうした制約の多さに加え、そもそも腕時計自体を身に付ける習慣も減っていることから、スマートウォッチはマニアが興味本位に買い求める程度のデバイスに終わるのではないか、と予測する調査会社も少なくない。2014年1月のCESの時点では、数年後を見据えた予測でも、その市場規模は数百万~数千万台にとどまるとみられていた。これでは数億~数十億台規模が見込まれるスマートフォンやタブレットとは桁が違いすぎる。

 しかし2014年、スマートウォッチを取り巻く状況は激変しつつある。その最初のきっかけが、2014年6月にグーグルが発表した「Android Wear」。それまでメーカーが独自に調達していたOSを標準化し、グーグルのサービスを中心にアプリプラットフォームや開発環境を統一した。これによりスマートフォンにおけるAndroidの成功が、スマートウォッチでも繰り返される可能性が出てきたといえる。