ケーブルを使わずに無線を使ってスマートフォンなどのデバイスを充電するワイヤレス給電では、既に複数の規格が策定されている。規格を策定する企業はアライアンスを結成して、自社陣営の強化や製品化の促進、標準化への働きかけを実施している。

 現時点では、アライアンスのメンバー企業数と製品数で優位に立つ「Qi(チー)」に対して「Powermat」が猛攻を仕掛けているが、2014年6月になってPowermat陣営にStarbucksという強力な援軍が付いた。果たして、ワイヤレス給電の勢力図は塗り変わるのだろうか?

現在はQiが圧勝だが

 表1は、ワイヤレス給電アライアンスが、2013年4月ころと2014年7月ころでどれだけ変化したかを示している。各アライアンスともメンバー企業は増えたが、先行者であるQiの優位と、市販製品がQiとPowermatしか存在しないという状況は1年前と変わらない。日本ではPowermat製品は市販されていないため、市場は完全にQiが独占している。

表1●ワイヤレス給電の主要アライアンス(2014年7月現在)
表1●ワイヤレス給電の主要アライアンス(2014年7月現在)
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 苦戦していたPowermatに光が見えてきたのは2014年6月。世界的コーヒーショップチェーンのStarbucksがDuracell Powermat(DuracellとPowermat Technologiesとの合弁会社)の充電ステーションを店舗に配備すると発表したのだ(図1)。サンフランシスコ・ベイエリアとボストンを皮切りに、2015年内に全米の全直営店および系列のティーショップTeavana Fine Teas + Tea Bars(2013年末で合計約8000店)に約10万台の充電パッドを配備する。欧州・アジアでのパイロットテストも同年内に開始するとしている。

図1●Powermat導入に関するStarbucksのプレスリリース
図1●Powermat導入に関するStarbucksのプレスリリース
出典:http://news.starbucks.com/news/national-rollout-of-wireless-charging-by-duracell-powermat-begins-in-starbu
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