本章では半導体メモリーの代表的存在、DRAMを扱う。DRAMはディーラムと発音する。Dynamic Random Access Memoryの略称である。日本製DRAMの世界市場におけるシェアは、1980年代に80%に達し、栄華を極める。盛者必衰。2014年、DRAMメーカーは日本には1社もない。
DRAMが主役となり、ムーアの法則に従って進歩
1970年9月、米IBMは同社汎用コンピュータの最新鋭機「システム/370モデル145」のメイン・メモリー(主記憶、注1)に、半導体メモリーを採用すると発表した。半導体集積回路産業に、コンピュータ・メモリーという大市場が出現する。
なお外部記憶装置については、英語ではmemoryよりもstorageを使うことが多い。しかし日本語では、どちらにもメモリーを使うことが少なくない。
当時のコンピュータのメイン・メモリーには、主に磁気コア・メモリーが使われていた。これが1970年代になって、半導体メモリーで置き換えられていく。
半導体メモリーのなかでも、DRAMが主役となり、大市場を形成する。この市場を最初に制したのは、米国の半導体メーカーである。1970年代は米国のシェアが最大だ(図1)。