通信自由化によって、電話機も様変わりする。電電公社貸与の黒い機械ではなくなり、カラフルなデザインを施された小物家電となった。1987年にコードレス電話機の販売が自由化され、人気商品となる。この時期、1980年代後半には、固定電話機の生産が成長した。しかし1990年を過ぎると、たちまち減っていく(図3)。
1990年に伸び始めた携帯電話機の生産は2000年代後半には急落
固定電話から携帯電話への移行が始まったのである。携帯電話機は固定電話機を、生産金額で追い越し、2000年代前半の全盛期には2兆円近い生産金額となる。ところが2000年代後半になると生産が急落する。しかし携帯電話の加入者が減ったわけではない。
携帯電話が固定電話を加入者数で圧倒
1990年代に入ると携帯電話の加入者が増え始める(図4)。1990年代末には固定電話を加入者数で追い越す。ここまでは、図3と図4は矛盾なく対応している。2010年には、携帯電話は固定電話の3倍の加入者数を持つに至る(図4)。ところが2010年の携帯電話機生産金額は、ピークの4分の1に落ちている(図3)。ここに、日本の携帯電話事業の苦境が表れている。