マツダは次世代技術「スカイアクティブ」を搭載したSUV「CX-5」で「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。販売も好調に推移する。それを支えるのが、IT(情報技術)をフル活用した車づくりだ。ITを使って量産の前段階でシミュレーションを繰り返す。これで金型が原因の稼働不具合は75%減った。今後は顧客情報の一元管理などITで営業現場も強化する。

 「『CX-5』の生産に当たり、『モノ造り革新』の一環で生産プロセスを一から見直し、変革に取り組んでくれたこの工場で、この場所で、実際に製造に携わった社員の皆さんと、また社内外の関係者の皆様と改めて受賞をお祝いし、今後の励みにしたい」

 2013年1月25日、マツダの山内孝会長兼社長兼CEO(最高経営責任者)は本社工場(広島県府中町)で、約900人の現場社員らを前にこう語りかけた。低燃費と走行性能を両立した次世代技術「SKYACTIV(スカイアクティブ)」を全面採用した多目的スポーツ車(SUV)「CX-5」の「2012-2013 日本カー・オブ・ザ・イヤー」受賞を祝う記念式でのことだ。

写真1●本社工場で開いた「日本カー・オブ・ザ・イヤー」受賞記念式の様子。記念式では山内孝会長兼社長兼CEO(写真左)ら経営幹部だけでなく、本社工場に勤務する約900人の現場社員らも出席した
写真1●本社工場で開いた「日本カー・オブ・ザ・イヤー」受賞記念式の様子。記念式では山内孝会長兼社長兼CEO(写真左)ら経営幹部だけでなく、本社工場に勤務する約900人の現場社員らも出席した
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 マツダの受賞はスポーツカー「ロードスター」以来7年ぶり。「受賞の第一報が届いた時、社内は歓喜の声で沸き返った」と山内社長は明かす。だからこそ、経営幹部だけでなく、CX-5の生産を担う社員やサプライヤー、販売会社の関係者も一堂に集めて、生産ラインを止めてまで受賞を祝ったわけだ。

 スカイアクティブを実現するうえで欠かせないのが、商品の多様性と量産効果を高める共通性を同時に実現する「モノ造り革新」だ。そのモノ造り革新を支えるのがIT活用。マツダのIT活用のキーワードは「混流生産」とCAD(コンピュータによる設計)やCAE(コンピュータによるエンジニアリング)を使った「バーチャルシミュレーション」である。