2018年中に新元号が公表される見通しになったことを受けて、ITベンダーが顧客企業のシステムや自社のソフトへの影響調査に動き出した。焦点の1つが元号を一文字にまとめて表示する「合字」の取り扱いだ。Unicodeに新元号の合字を登録することが検討されている。日本マイクロソフトは合字の処理方法をはじめ、同社製品の元号に関する影響を調べる。結果に応じて同社製品の改修や顧客企業への情報提供を検討する。合字を使っている企業はシステム改修が必要になる。

 「改元は極めて複雑な、非常に多くの検討事項や作業が必要になる」。日本マイクロソフトはブログを通じて、改元に対応したシステム関連作業についてこう指摘する。作業の一例として元号を表示する合字への対応を挙げる。合字とは「㍻」「㍼」など、いくつかの文字を一文字で表示したものだ。

 経済産業省 国際電気標準課によれば「新元号の合字へコードを割り当てる検討が始まっている」。これまでの元号については「㍻」は「U+337B」、「㍼」は「U+337C」、「㍽」は「U+337D」、「㍾」は「U+337E」のコードがそれぞれ割り当てられている。新元号に割り当てるコードについては、ISO(国際標準化機構)の規格を議論する委員会「ISO/IEC JTC 1」(ISO/IEC合同技術委員会)の分科委員会で検討するという。

 日本マイクロソフトによれば「製品やバージョンが多岐にわたるため、影響の範囲は検証段階」(同社広報)。例えばOffice製品であれば新元号の合字を表示したり変換する機能、SQL Serverであれば和暦と西暦の変換に新元号を追加することやデータベースの並び替えなどの機能を追加する必要などが考えられる。新元号の元号が確定する前に進められる作業については標準化などの国内・海外団体と連携しながら進める。