金融IT業界のリサーチを手掛ける米セレントが2015年11月11日、「セレント イノベーション&インサイト・デー 東京 2015」を開催した。FinTech先進国である米国、英国のアナリストを迎え、海外の最新動向を披露した。日本でも有望視されるFinTech分野である「ブロックチェーン」と「ロボ・アドバイザー」。両分野を中心に、世界のトレンドを伝えよう。

写真●米セレントのウィリアム・トラウト シニア・アナリスト
写真●米セレントのウィリアム・トラウト シニア・アナリスト
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 「証券会社や銀行は懐疑的な目を向けていた。ところがこの12カ月で状況は大きく変わった」――。米セレントのウィリアム・トラウト シニア・アナリストは、欧米でのロボ・アドバイザーの現状をこのように語った(写真)。ロボ・アドバイザーは元々、FinTech系のスタートアップ企業が提供してきたもの。大手金融機関は「若者向けの“一時的な流行”」と断じてきた。ところが今、金融機関も無視できないようになってきたという。

 ロボ・アドバイザーは、アルゴリズムによる自動投資アドバイスや自動運用を担うサービスのことだ。取り扱う商品はETF(上場投資信託)であることが多い。日本でのプレーヤーはまだ少ないが、欧米では数多くのサービスが登場している。人手によるアドバイザリーサービスなどに比べ、ローコストで透明性が高いことが利点である。

 トラウト シニア・アナリストによると、ロボ・アドバイザーの強みは三つあるとする。

 まずは、人手なしに投資ポートフォリオを構築することだ。簡単な質問に答えてもらい、その回答に従って趣向などをプロファイリング。推奨の投資ポートフォリオを自動構築する。「仕組みはシンプル。全てが透明なので、顧客の恐怖心を取り除ける」と説明する。