みずほ銀行が社運を賭けて開発を進める次期勘定系システム。総投資額は3000億円以上におよび、要員もピーク時に8000人超となる巨大プロジェクトだ。

 「今後30年の礎」「新生みずほの象徴」――。2002年や2011年に大規模なシステム障害を起こしただけに、同行関係者が次期勘定系システムに寄せる思いは並々ならぬものがある。開発完了予定の2016年12月まで残り1年余り。佳境を迎えたプロジェクトの内情に迫った。

三つのタスクフォースで全方位で手段講じる

 「単なるシステム構築案件ではない。銀行全体にかかわる重要プロジェクトだ」――。みずほフィナンシャルグループ(FG)の加藤朝史システム推進部部長は、次期勘定系システム開発の位置づけをこう説明する(関連記事:[1]みずほ銀行「次期勘定系システム」の全貌 プロジェクト完遂へいよいよ正念場)。統合・刷新は銀行の裏側の仕組みを変えるだけでなく、行内の業務プロセスはもちろん、顧客向けのサービスにも変化を生じさせる。

 みずほは、社長をはじめとする経営層を含めた会議体である「プロジェクト統括会議」の直下に、次期勘定系システム開発にかかわる三つのタスクフォース(TF)を設けている()。「システム対応TF」、「顧客対応TF」、「営業部店業務対応TF」――だ。

 システムそのものの課題解決を担うシステム対応TFに加えて、統合・刷新によって顧客や行内に及ぼす影響も取りこぼしなく浮かび上がらせようと試みる。顧客対応TFで、商品・サービスの変更が顧客に与える影響などについて対策を練り、営業部店業務対応TFでは、研修など営業店などが業務変更することに伴って求められる支援施策を打つ。全方位で手段を講じることで万全を期す。

プロジェクト専用の品質管理部隊を設置

図●みずほの次期勘定系システムのプロジェクト体制
図●みずほの次期勘定系システムのプロジェクト体制
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 次期勘定系システムのプロジェクト体制を概観しよう。現在のプロジェクト要員数は、ピーク時よりも1000人程度少なくなっているが、それでも約7000人という大所帯をまとめ上げるのは生半可ではない。巨大プロジェクトを着実に推進するために、みずほは組織作りで工夫を凝らす。

 まずプロジェクトの進捗管理などを担う組織として、PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)を設置した。実際に開発を手がける実働部隊はその下にぶら下がる形をとる。

 実働部隊は主に6つの開発チームで構成している。それぞれは今回の統合・刷新プロジェクトをけん引するみずほ情報総研(IR)の事業部単位をベースにしている。