「今後、データは年率40%で増えていく。2020年に世界のデータは現在の10倍の44ゼタバイト(ZB)にもなる」。HGSTジャパンが2014年9月に開催した戦略発表会。米HGSTシニア・バイス・プレジデントのデーブ・タン氏は、米IDCの調査結果を引き合いに出して、大容量ストレージに対するニーズが今まで以上に高まると強調した。

記録密度の向上と、容量当たり電力の削減が大きな課題

 保存すべきデータが増えるからといって、データセンターはストレージ機器をむやみに増やせない。供給能力やコストを考えると、機器が消費する電力を一定の枠に抑える必要があるからだ。容量重視のストレージ機器で主力となるHDDに求められるのは、省電力と記録密度の高さ。つまり、テラバイト当たりの消費電力をいかに抑えるかが鍵になる。HGSTは、こうした大容量かつ省電力というニーズに応える製品として、10テラバイトのHDD(写真1)を発表した。

写真1●HGSTが発表した10テラバイトのHDD
写真1●HGSTが発表した10テラバイトのHDD
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 10テラバイトHDDの技術的なポイントは二つある。一つは、ヘリウムガス充填型にしたことだ。ヘリウムガスの密度は空気の約7分の1と低い。HGSTはヘリウムガス充填型のメリットとして、ディスクと気体の摩擦が減るためモーターの消費電力を削減できる、同じ空間により多くのディスクを内蔵できるなどを挙げている。10テラバイトHDDと同時に、現行の最新モデルとして発表した8テラバイトモデルは、7枚のディスクを内蔵している(写真2)。