アマゾンのクラウドサービス「AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)」の業績が好調だ。米アマゾン・ドットコムは2015年10月、第3四半期(7~9月)の決算を発表。AWSの売上高は前年同期比78%増の20億8500万ドル、営業利益は同432%増の5億2100万ドルと大きく伸びた。

 世界190カ国で、100万ユーザーが利用するというAWS。日本でも圧倒的な利用実績を誇る。2013年時点で2万社以上が利用していることを公表済み。日経コンピュータ2015年10月15日号の特集「クラウドJAPAN、100社の選択」で行ったアンケート調査では、AWSの利用率は57%とダントツ。2位のマイクロソフト(13%)以下に、大きく水をあけた(写真1)。

写真1●日経コンピュータのアンケートに見る、主なクラウドサービスの利用状況
写真1●日経コンピュータのアンケートに見る、主なクラウドサービスの利用状況
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 クラウドサービスの先頭を快走するAWS。その強みをひも解くことで、拡大路線に潜む悩みもあぶり出されてきた。日本での動向を中心に、AWSの強みと悩みに迫った。

二つのエコシステムが両輪

 AWSの強みは、クラウドサービスを支えるエコシステムを確立していることにある。AWSが提供する先端サービスを起点に、パートナー制度とユーザーコミュニティーという二つのエコシステムが推進力を生み出している(写真2)。

写真2●AWSを支えるエコシステム
写真2●AWSを支えるエコシステム
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 AWSの新サービス投入は矢継ぎ早だ。「2014年だけで516個の機能拡張や改善を実施、2015年は5月末時点で275個とこれを上回る勢いにある」(アマゾン ウェブ サービス ジャパン ストラテジックソリューション部長の大谷晋平氏)。