2015年7月29日にWindows 10の提供が始まってから、正式版としてはこれまで大きなアップデートがなかった。その間も、開発途上版を提供する「Windows Insider Program」では「Insider Preview」として新しいバージョン(ビルド)が公開されていた。先日公開された「Build 10586」では、通常のInsider Previewにはあるデスクトップ画面左下のビルド表記が消えた。この10586が、次の正式アップデートの完成版とみられる。10586までのビルドで初期版から何がどう変わったのか、次期アップデートの先取りとして解説する。

 7月29日に提供されたWindows 10の正式版は、Windows Insider Programの配布時には、「TH1」と呼ばれていた。公式な説明はないが、Windows 10のコードネームが「Threshold」であることから、TH1は、Threshold1の意味と考えられている。11月中にも正式配布が開始されるとみられるアップデートは、「TH2」と呼ばれている。以下、このTH2についてTH1との違いを見ていくことにする。

 なお、比較には、日本語版のWindows 10 Proを使った。TH1でも、ハードウエア構成や「モダンスタンバイ」の違いなどにより、「設定」の表示項目がPCによって異なる。この記事での評価には、TH1、TH2ともに表示項目が多くなるモダンスタンバイの「コネクテッド」を中心に利用した。このため、「ディスコネクテッド・モダンスタンバイ」対応の機種とは表示が異なることがある。

 TH2の改良点を大まかにまとめると、GUIなどのデザイン修正や変更など、いわゆる「ブラッシュアップ」と、完成が近いとされている「Windows 10 Mobile」に関連したスマートフォン的な機能の導入がある。

 前者は、デザインや色などが変更になり、見た目や操作を洗練されたものにしようという意図が見える。後者は、これまでのWindows Phoneや他のプラットフォームのスマートフォンやタブレットなどが標準的に持っていた機能をWindows 10デスクトップ(従来のデスクトップ画面を中心とした使い方でのWindows)側にも持ち込んだものだ。

 例えば、タイムゾーンの自動設定やデバイスの位置検索の機能などである。また、内部的な改良も進められており、メモリーの利用効率を高める工夫も組み込まれた。標準搭載のアプリもバージョンアップし、機能が強化されている。特にほかのWebブラウザーを追う立場にある「Microsoft Edge」は、大きく強化された。

 TH2での変更は、大きく「GUI」、「システム」、「標準アプリ」に分類できる。まずは、GUI関連の変更点から見ていくことにしよう。