写真1●ガリバーインターナショナルのベトナムでのテレビ会議
写真1●ガリバーインターナショナルのベトナムでのテレビ会議
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 2014年10月末の午前9時。ベトナムのハノイ市街にある商業ビルの一室でテレビ会議が始まった。参加者は、ガリバーインターナショナルのITチームに所属する坂口直樹氏と加藤大清氏、それにオフショア委託先のSEを加えた計7人。テレビ会議の相手は、東京のガリバー本社にいるITチームである(写真1)。

 社内管理システムの改修作業の進み具合を確認するのが、会議の目的だ。「実装状況は順調」など、ベトナム側から進捗を報告する。この日は目立った問題はなく、スムーズに会議は進行し、15分ほどで終了した。ベトナム側ではその後、現在抱えている課題や注意事項などをメンバー間で共有し、午前10時にはそれぞれが業務に戻った。「週に3回ほど、プロジェクト単位で日本と定例会議をしている」と、坂口氏は説明する。

 ベトナム企業に直接、システム開発を発注するユーザー企業が増えている。2004年から同国で開発を続ける通販大手のニッセン、2011年にインドから切り替えたゴルフダイジェスト・オンライン、2012年に10年ぶりとなるオフショア開発を再開させたリクルートテクノロジーズ、そして2013年にスタートしたガリバー――。

 日本にとって最大のオフショア先である中国の人件費高騰を受け、ベトナムは「ネクストチャイナ」の最右翼というポジションを確実にしつつある。情報処理推進機構(IPA)の「IT人材白書2012」によると、2011年度の時点で、今後のオフショア開発の候補地としてベトナムを考えているとした回答が中国、インドを抑えて最も多い。